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評価:
青山 景
太田出版
¥ 819
(2009-08-04)
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表紙に惹かれて買ったら、CONTINUEで連載していた作品だった。
本作の途中1話しか読んでなくて、なぜか、アイアムアヒーロー(序盤)とごっちゃになり
アイアムアヒーローの1巻を読んで「あれ、立ちバックしてない」と思い
これを読んで、「あー立ちバックしている」と思ったのもいい想い出。
なんつうかさ、想い出なのか現在なのか映画の中のことなのか想像なのか
ごちゃごちゃになりながらも、時間軸を行ったり来たりして転がり続けるストーリー。
そして、見事なまでのエンディング。
もうね、大好き。
あの最後は本当に震える。
ストーリーは、主人公の愛すべきマイナー映画「G9」
誰にも理解されない映画の良さと、小説を書いても理解されない自分の状況を重ねつつ
花見でたまたま一緒になった町田ミカが、実はG9のヒロインの娘で
そこから始まる、モラトリアムとペシミズムと屈折と実直さ、そして虚構と混乱。
なんともあっちこっちに時間軸が動くのだが、意外とスッキリと読める。
読んでいると、ヒロインの町田ミカの可愛らしさ(表紙の娘)がヤバイ。
だって、ショートカット、八重歯、タレ目だよ?もう最高すぎるでしょ。
そして主人公である浜やんの「お前は、俺か!」ってくらいのうぬぼれと諦めと屈折に
身もだえしながらも、意外と突き放して読めてしまうのは
現在という時間軸から過去を俯瞰しながら描いているから故か。
如何様にも解釈できそうで、意外とそういった解釈を求めていないようにも思える。
始まりは一カ所でしかなく、終わりも一カ所でしかない。
最初と最後が決まっているからこそ、途中拡散してしまいかねない展開やストーリーが
読み終えた後の自分の心に響く。
もう一度云う、あのエンディングは本当に素晴らしい。
過ぎ去っていってしまったものは、全て美しく見えてしまうものだが
本当に美しい瞬間というのは、ああいう他愛のない一瞬なのかも知れない。
ボクは、本当に、そう思う。